ノイズを意識する

ただ綺麗に建築をまとめることであれば、ルールを決め、経験値があがれば容易にできるであろう。

しかし、最近は空間にノイズや違和感をつくることを意識している。

空間のノイズとは、空間の密度につながる。

空間の密度をあげることが、多様な場や体感を生み、空間や人の感じる豊かさをつくっていくと考えている。

同時に単純であることも大切にしなくてはいけない。

明快でない空間は、建築の意思が希薄に感じてしまうし、ノイズの存在が分からなくなってしまう。


卒業設計の審査でも、システマチックな建築が多くあったが、単純なシステムや建築形式、構造を考えているからこそ、ノイズがつくりだす空間の密度=多様な場と可能性を考えていく必要になる。


しかしながら、建築というのは面白い。

アートとは違う。

アートであれば、感覚や感性が大切であるが、

建築の思考というのは、意識しながら、意識しないという感覚がある。

感覚や感性も大切であり、同時に概念的な思考も大切になる。

ノイズという違和感を意識しながらも、意識せずつくるという矛盾した思考をくりかえしている。


こんなことを思いながら、ただ単純に自然と対話しながら建築を考えていきたい素直な自分がいる。



川本あ。